2022年(令和4年)は、寅年!!
ということで、
今回、第56回京の冬の旅の目玉の一つになっている報恩寺(ほうおんじ)鳴虎図(なきとらず)です。
この鳴虎図(なきとらず)通常12年に1度寅年に、しかも正月の3日間しか一般に公開されないのです。
既に第一期は終わってしまったのですが、第一期では、原画が飾られていました。
第二期では、複製画をみることができます。ぜひ足を運んでください。
気になると思うのですが、鳴虎(なきとら)と呼ばれていますが、画に描かれている虎は、水を飲んでいる姿なんです。
今回は、そんな報恩寺をご紹介します。
報恩寺(ほうおんじ)とは
正式名称 尭天山 佛牙院 鳴虎 報恩寺(ぎょうてんざん ぶつがいん なきとら ほうおんじ)。
いつ寺がつくられたか、定かではないですが、室町時代中期までは八宗兼学(はっしゅうけんがく)の寺院として一条高倉の付近(一条通と高倉通の交差地点なので今の京都御所の有栖川宮高松殿邸あたり)にあったとされています。
織田信長が書いた 洛中洛外図 の 一条高倉付近 に報恩寺が書かれていたらしいよ。
後柏原天皇(ごかしわばらてんのう)の勅旨(ちょくし:天皇の命令)で、1501年(文亀1)浄土宗寺院となりました。
その後、天正13年(1585年)に豊臣秀吉によって現在の場所に移ったとされています。
本尊は、鎌倉時代の大仏師・快慶の作と伝わる阿弥陀三尊像(あみださんぞんぞう)で、
- 阿弥陀如来像(あみだにょらい):中央
- 観音菩薩像(かんのんぼさつ):右
- 勢至菩薩像(せいしぼさつ):左
観音菩薩像(かんのんぼさつ)勢至菩薩像(せいしぼさつ)は前傾姿勢で、今まさに救いに向かう最中の姿が現されています。
また、黒田長政(くろだながまさ)が亡くなられた場所としても有名です。
江戸中期に建物は火災にて焼失していますが、仏像等は救い出されています。
八宗兼学(はっしゅうけんがく)というのは、日本の仏教の8つの宗派の教義を全て学ぶことをいうよ。
8つの宗派は、今は一般的に、
天台宗(日本における開祖:最澄)
真言宗(開祖:空海)
日蓮宗(開祖:日蓮)
曹洞宗(日本における開祖:道元)
臨済宗(日本における開祖:栄西)
浄土宗(開祖:法然)
浄土真宗(開祖:親鸞)
時宗(開祖:一遍)
みたいだね。
第56回京の冬の旅(2022.1.8~3.18) 鳴虎図(なきとらず)
鳴虎図(なきとらず)歴史
明(今の中国)の画人・四明陶佾(しめいとういつ)が描いた 松の下で清流の水を飲む虎の図 です。
実は、日本にある古い 虎の図 のうち中国から来たと断定できるものは少ないのです。
そのほとんどが、朝鮮の辺りで中国のものを模写したものが伝わったか、日本で描かれたものなんです。
さてこの虎の図ですが、中国伝来とする根拠として 3点の特徴があります。
・中国画の虎の図の特徴、虎と 松 が一緒に描かれている。
・日本に生息しておらず、中国で幸せを運ぶとされる カササギ という鳥が描かれている。
・四明陶佾(しめいとういつ)の 署名 と 落款印(らっかんいん) がある。
上記のことから中国から、伝わったと断定できるのです。
ちなみに、今は カササギ が 日本に生息しているんだ。
豊臣秀吉の「文禄・慶長の役」で朝鮮に出兵した鍋島藩主が「カチ・カチ・カチ」と鳴くこの鳥を見て縁起が良いと持ち帰ってきて、日本で繁殖してしまったらしいよ。
鳴虎の由来
皆さんは、不思議に思ったと思います。
この絵は、水を飲んでいる虎の絵なのに、なんで鳴虎(なきとら)なんて呼ばれているのか?
実は、あの有名な豊臣秀吉(とよとみひでよし)が関係しているのです。
秀吉(ひでよし)は、報恩寺(ほうおんじ)を現在の位置に移動を指示した本人であり住職とも交友がありました。
ある日、報恩寺(ほうおんじ)にて、虎の画 を見た豊臣秀吉は、どうしても 欲しいと思いました。
そこで 住職と交渉し、譲り受け 当時住んでいた聚楽第(じゅらくだい)の床の間に飾りました。
しかし、夜も更け 秀吉 が眠りにつくと 急に 虎の鳴き声が聞こえます。
その鳴き声は、激しく 秀吉 も一睡もできず 夜が明けてしまいました。
秀吉は、これは 虎の画が 報恩寺(ほうおんじ)に帰りたがっているのだなと考え 寺に返しました。
このことから、 虎が鳴く ので 『鳴虎図』 と呼ばれるようになり それに伴い 寺の名前も
鳴虎 報恩寺(なきとら ほうおんじ)となったのです。
聚楽第(じゅらくだい)とは、京都の豊臣秀吉(とよとみひでよし)の家として天正15年(1587年)に作られ、8年後には取り壊された 今では謎の多い家らしいよ。
絹本着色(けんぼんちゃくしょく)
絹(きぬ)に直接、画を書き込む技法で、発色がよく一見薄塗りに見える画面に深い奥行きがあり、とても味わい深い画になります。
その反面、修正がしにくく手間がかかる、また保存が難しいという特徴があります。
鳴虎図(なきとらず)は、金の絹に描かれ、近づいてみるとわかるのですが、とても細かい毛が一本一本緻密に書き込まれています。
そのため、虎が ふわっと した柔らかさと しなやかさ が見れるのです。
また、虎の右から見るときと 左から見るときで 虎の大きさ(しっぽあたりの体回りの太さ)が変わっているように見えます。
公開期間
一般公開は、12年に1度 寅年の 1月1日から3日までの3日間のみ公開されています。
また、Canon が 行っている 綴TUZURIプロジェクト で 鳴虎図(なきとらず)の複製がなされています。
複製画は、常時公開(要予約)されています。
複製画があるから 原画をみれるのは、
本当に12年後まで見れない可能性があるね。
拝観案内
拝観時間
拝観時間:10:00~16:30(16:00受付終了)
特別拝観料(常設拝観可能)
- 中学生以上:800円
- 小学生:400円
- 小学生未満:無料
予約
ふらっと行って入れなかったらもったいないよ!!
絶対に予約しよう。
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