京都市右京区の嵯峨野(さがの)にある浄土宗の寺。山号は華西山(かさいざん)です。
正式名称は、 東漸院念仏寺(とうぜんいん ねんぶつじ)と言います。
死者の地というような場所ですね。
ほかの神社や仏閣にはない雰囲気ですので、京都に何回も来ている人にもおすすめします。
京都の中でも、外れの方にあるので人も少なくのんびりと回れます。
今回は、そんな化野念仏寺を紹介します。
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嵯峨野(さがの)は、嵐山の奥だよ。
基本情報
開 創:弘仁2年(811年)
開創者:空海(弘法大師)
この地区は、古くから亡くなられた人々風葬する地区でした。そのため至る所に死体が転がっていました。
伝承によると、弘仁年間(810~824)に、空海上人(くうかい)が当地に野ざらしになっていた遺骸を埋葬し、供養のために、小倉山寄りを金剛界、曼荼羅山寄りを胎蔵界と見立てて千体の石仏を埋め、中間を流れる曼荼羅側川の河原に五智如来の石仏を立て五智山如来寺を建立したのに始まるとされています。
その後、法然上人(ほうねん)が浄土宗の念仏道場を開き、名称も念仏寺となったと伝わっています。
五智如来 (ごちにょらい)
五大如来(ごだいにょらい)ともいい、密教で5つの知恵(法界体性智、大円鏡智、平等性智、妙観察智、成所作智)を5体の如来にあてはめたものです。
・大日如来(だいにちにょらい)(中央)
⇒法界(全宇宙)の普遍の智慧である法界体性智を象徴する。
・阿閦如来(あしゅくにょらい)(東方)
⇒鏡ですべてを映すようにあらゆるものを見極める大円鏡智。
・藥師如来(やくしにょらい)
⇒東方の如来という事から五智如来の阿閦如来とも同一視される。
・宝生如来(ほうしょうにょらい)(南方)
⇒すべてのものとの一体化を悟る平等性智
・阿弥陀如来(あみだにょらい)(西方)
⇒あらゆる智慧を観察して人々を導く妙観察智
・不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)(北方)
⇒なすべきことを成就させる成所作智。
見所
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化野念仏寺は、3つの区域で雰囲気が変わるよ。
- 西院之河原(さいのかわら)区域
- 竹林の小道区域
- 仏舎利塔(ぶっしゃりとう)区域
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まずは、 西院之河原(さいのかわら)。
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なんといっても、8000体にも及ぶ石仏かな。
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西院之河原(さいのかわら) は、日常とは違う風景だよね。
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ほかの神社仏閣とは、一線を画す(いっせんをかくす)場所だよ。
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まるで、地獄に来てしまったような もの悲しさ があるね。
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次は、竹林の小道。
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嵐山の竹林もいいけど、細い小道を通り抜けるのが気持ちいいね。
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夏は、竹のトンネルを抜けると情緒があるかも。
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最後は、仏舎利塔(ぶっしゃりとう)の区域。
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ここは、化野念仏寺でも特に異質で、インドのような雰囲気がするね。
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3つの違う地蔵様がいることも、意味を考えると面白いよ。
所要時間
目安:40分
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他のお寺や神社とは異質な世界にいざなわれたね。
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お墓だということを考えると、ものさみしさも感じるね。
由来
「あだしの」は「化野」と書きます。「あだし」とは、はかない・むなしいという意味です。
「化」の字は「生」が化して「死」となり、この世に再び生まれ化る事や、極楽浄土に往来する願いなどを意図しています。
生きた人が、死者を送る場所であり、生と死のはざまのような場所であることから「化野」となったのです。
また、 法然上人(ほうねん)が浄土宗 をこの地に開き、門徒さんたちが集まって念仏を唱えました。
念仏を門徒が集まり唱える場所を「道場」あるいは「念仏道場」と呼んでおります。
そのため、化野の念仏道場が、化野念仏寺になったのです。
境内
境内地図
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参道
二尊院から、山の方へ進むとちょっとした飲食店やお店が点々と続きます。
味のある古風な街並みを眺めながら進むと、左手に階段と『あだしの念仏寺』という石柱が現れます。
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見事な紅葉に誘(いざな)われながら石畳を進むと入口が見えてきます。
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二尊仏
参道の脇には、2つ並んだ仏様が出迎えてくれます。
釈迦如来(しゃかにょらい)、阿弥陀如来(あみだにょらい)様は鎌倉時代のものとされています。
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入口
小さな門が出入口となっています。
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入口には、拝観料売り場があります。
珍しく、券売機で拝観料を購入します。
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お札は、『千円しか入らない』から、あらかじめ用意した方が良いかもね。
西院之河原(さいのかわら)
明治30年代に宗教奉仕団体、福田海(ふくでんかい)の開祖である中山通幽(なかやまつうゆう)師が、化野に散在していた多くの無縁仏(石仏)を掘り出して集めたものです。
その数は約八千体です。
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石仏と共に発掘される壺や古銭の時代考証によると平安から、鎌倉、室町、江戸の各時代に及ぶそうです。
この無縁仏の霊にローソクをお供えする千灯供養(せんとうくよう)は地蔵盆(じぞうぼん)の夕刻より行われます。
石仏や石塔の一処に会して肩を寄せ合う様に並んでいます。
空也上人の地蔵和讃にあるように、嬰児(みどりご:子供)が一つ二つと石を積み上げた河原の有様を思わせることから賽の河原にちなんで西院(さい)の河原といいます。
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地蔵盆(じぞうぼん)とは、地蔵菩薩の縁日を中心に行われる、行事だよ。
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西院之河原 の中に入ることが出来るよ。
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中での撮影は、禁止されているから注意だよ。
賽の河原(さいのかわら)
あの世とこの世を隔つ三途(さんず)の川のほとりの河原を 賽の河原 (さいのかわら) と呼びます。
親より早く死んだ子供は、賽の河原 (さいのかわら)で石を積み上げ塔にしなければなりません。
そうしないと、あの世側に渡れないのです。
しかし、石がある程度高くなると 鬼が来てこれを 壊してしまいます。
子供たちは 作っては壊され 作っては壊されを 永遠と続けるのです。
しかしながら、最後には 地蔵菩薩(じぞうぼさつ)が現れて子供を救い守られます。
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申し訳ないけど、地蔵菩薩様には、早く来てほしいね。
苔庭
苔の庭に、石仏が並べられています。
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木漏れ日の中で、日向ぼっこをしているようだったね。
仏舎利塔
日本の雰囲気の中で、突如仏舎利塔が現れる。
仏舎利塔とは釈迦の遺骨を納めるとされる仏塔です。
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日本の雰囲気と少し違うね。
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本堂
奥に進むと、 阿弥陀如来像 様が待ち受けております。
本堂は江戸時代の正徳2年(1712年)に寂道により再建されたものです。
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本尊
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本尊は阿弥陀如来像で、寺伝に湛慶作というが実際の作者は不明です。
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水子地蔵(みずこじぞう)
水子(みずこ)とは、早死にした子供たちの魂のことです。
賽の河原(さいのかわら)で苦しんでいる子供たちを地蔵菩薩様が助けることを願われています。
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茅屋根の小さなお堂があったよ。
竹林の小道
本堂横を進めば、竹林の小道につながります。
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笹のこすれあう音が、耳に気持ちよいです。
この竹林には、角倉素庵(すみのくら そあん)さんのお墓があるそうです。
江戸時代の豪商で、日本で初めての 挿絵の施された木活字本を作った。
一群の書物は、流麗な書体で美しい装丁を施しており、「嵯峨本」(さがぼん)と呼ばれます。
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六面体地蔵
竹林を抜けると、広場にでます。
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そこに六面体の石柱があります。
六面には、それぞれお地蔵さまが掘られています。
そしてそれぞれ
- 天道
- 人道
- 修羅道
- 畜生道
- 餓鬼道
- 地獄道
を現しています。
これは、お地蔵さまは、人を救うために、如何なる世界にも表れることから来ています。
天道から、人道へ時計回りに水をかけながらお参りしてください。
これは、水によって罪を洗い流す意味があります。
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お地蔵様の台座に、天道~地獄道の文字が書いてあるよ。
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この通りに回ればよかったんだね。
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水子地蔵様は子供への救いだったけど、ここは、大人も含めて救いを願う場所だね。
地蔵堂(延命地蔵尊)
同じ敷地内に、地蔵菩薩様が3か所もあるので、何が違うのかと思われたと思います。
水子地蔵様や六面地蔵様は、死んでしまった魂のために祭られています。
ですが、延命地蔵(えんめいじぞう)様は、今を生きる人々のための地蔵様です。
新しく生まれた子を守り、その寿命を延ばすといわれています。
今では、短命・若死にを免れるため信仰されています。
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ここは、現世で健康長寿を願う場所だね。
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死後の世界(賽の河原)で、生きている人に対して願う場所があるのは、面白いね。
たぬき
かわいい狸(たぬき)が、至る所にあります。
自分好みの狸さんを見つけてみてください。
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バイクに乗ってたり、相撲をとっていたり 面白いね。
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最後に ほっこり したよ。
文化財
なし
拝観案内
拝観時間
9:00~17:00(16:30受付終了)
※1・2・12月は15:30に受付終了。
※小学生以下の修学・行事等の団体はお断り致します。
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ちょっと小学生以下の子供には、退屈かもしれないね。
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大人になって、考えながら拝観する場所だね。
拝観料
- 大人:500円
- 中高校生:400円
- 子供:無料
年中行事
毎月
■24日14:00(約40分):水子供養
⇒子供の魂を水子地蔵のもと慰めます。
1~12月
■6月24日:浄焚式(じょうぼんしき)
⇒古くなった御札・塔婆・お守りなど焼べて供養する行事。
■8月最終土曜日・日曜日:千灯供養(せんとうくよう)
⇒念仏寺境内の西院の河原にまつられている数千体の無縁仏にろうそくを灯し、供養する宗教行事。
また、千灯供養に合わせて、『愛宕古道街道灯し』が行われます。
大小さまざまな行灯が街道沿いに並び、古き良き街並みをやさしい灯り がつつみ込みます。
■11月23日:お火焚(おたきび)
⇒境内内の御社に海や山の幸をお供えし、感謝を捧げるお祭です。
駐車場
民間駐車場が目の前にあります。
2時間:500円
1日:1000円
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目の前に駐車場があるのはありがたいね。
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道が狭いから気を付けてね。
地図
公式HP
まとめ
- 他の神社仏閣とは一線を画す場所。
- 賽の河原の雰囲気が味わえます。
- 紅葉も色鮮やか、竹林も夏の雰囲気に合います。
- 人も少なめで見やすいです。
- 地蔵様の意味の違いを考えると、面白い。
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