嵐山エリアにある、法然上人二十五霊場(ほうねんしょうにんにじゅうごれいじょう)の一つです。
法然上人とは言わずと知れた浄土宗の開祖。
実は、二尊院は法然上人より古くからある寺であり、その言われはもっと古いのです。
そんな二尊院、嵐山地区の「春と秋の景勝地として外せません」。
今回は、二尊院を紹介していきます。
基本情報
開 創:承和年間(834~847年)
開創者: 第三代天台座主 円仁(慈覚大師)
二尊院は、嵯峨天皇の勅願により 第三代天台座主 円仁(慈覚大師) が建立したことが始まりです。
一度は荒廃してしまうものの、鎌倉時代 法然(ほうねん)とその弟子である湛空(たんくう)らにより多くの信者を集め反映しました。
また、本堂は応仁の乱(1467~1477)にて焼失しますが、永正年間(1504~1520)に代十六世恵教上人(後奈良天皇)のときに、三条西実隆公が寄付を諸国から集め本堂と唐門を再建しました。
幾度かの改修を行っておりますが、平成28年に大改修が完了しています。
拝観所要時間
1時間40分( お茶処 休憩含む)
敷地が広くて、見応えがあるね。
関係した人物
円仁(えんにん)
円仁 (794年~864.2.24)
第三代天台座主です。
天台座主 とは、日本の天台宗の総本山である比叡山延暦寺の貫主(住職)で、天台宗の諸末寺を総監する役職です。
また、天台宗を山門派・寺門派(さんもんは・じもんは)という2派閥に分けた張本人でもあります。
これは天台座主3世円仁(えんにん)と、5世円珍(えんちん)との仏教解釈の相違が生じためです。
西暦993年円仁派が比叡山の円珍派坊舎を焼き払ったため,円珍門流は山を下り園城寺(おんじょうじ)に入って独立,寺門派となり,円仁門流は延暦寺に拠って山門派と称しました。
考えが違うので、家を焼き払うなんて過激だね💦
法然(ほうねん)
法然(1133-1212)
法然は、平安時代末期から鎌倉時代初期の日本の僧です。
はじめ、天台宗山門派の教学を学びました。
承安5年に、阿弥陀仏の誓いを信じ「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えれば、死後は平等に往生できるという専修念仏の教えを説き、のちに浄土宗の開祖となりました。
湛空(たんくう)
湛空 (1176-1253.7.27)
左大臣徳大寺実能(とくだいじさねよし)の孫です。
法然同様、天台宗山門派の教学を学びました。
しかし、法然の考え方に触れ、法然とともに 専修念仏の教えを説きました。
また、法然の死後転々とした法然の遺骨を、二尊院に宝塔を造り安置しました。
由来
二尊院という寺名は、御本尊である遺迎(けんごん)二尊像「釈迦如来」と「阿弥陀如来」の二如来像に由来します。
境内
境内地図
総門:京都指定文化財
慶長18年(1613)に伏見城にあった薬医門を移築・寄進されたものです。
総門には文様(装飾のための図柄)があり、唐草模様、数珠入り三つ巴紋、桃の巴蓋瓦など多彩です。
平成26年(2014)には瓦葺き工事により江戸時代の柄のまま復元されています。
総門を過ぎると、すぐに拝観券売り場となります。
紅葉の馬場
総門を潜り抜けると、長く参道が続きます。
約100mの道には、春には 桜、秋には もみじ が訪れる人を迎えます。
見事な紅葉の回廊です。
勅使門(唐門)
勅使(ちょくし)とは、勅旨を伝えるために天皇が派遣(差遣)する使者のことです。
勅使門とは、天皇の使いのみが通ることを許されました。
そう考えると、二尊院が天皇家に所縁(ゆかり)の深い仏閣だということがわかります。
真ん中に威厳のある、「小倉山」の文字は、後柏原天皇の直筆です。
格式高い特別な門です。今日では参拝した誰もが通ることができます。
一般の方はこちらからだったんですね。
全然扉の装飾や大きさが違うね。
勅使しか通れなかったなんて考え深いよね。
本堂 :京都指定文化財
二尊を安置してある本堂。
六間取り方丈形式の間口の広い建物です。
室町時代の応仁の乱(1467~1477)にて焼失しますが、永正年間(1504~1520)に代十六世恵教上人(後奈良天皇)のときに、三条西実隆公が寄付を諸国から集め本堂と唐門を再建しました。
本堂中央に掲げられている「二尊院」の文字は、後奈良天皇の自筆によるもので、この再建時に与えられたものです。
※六間取り(むまどり)とは、左右に3室、前後に2室、合計6室を確保する寺院建築の間取り方式のことを言います。 六間取りは禅宗の方丈に代表される間取りですので、この形式を「方丈形式」とも呼びます。
遺迎二尊像:重要文化財
二尊院の名前の由来ともなった2つの本尊は、重要文化財となっています。
木造釈迦如来立像(右)
⇒発遺の釈迦: 現世から来世へと送り出す
阿弥陀如来立像(左)
⇒来迎の阿弥陀:西方極楽浄土へ迎え入れる
二尊は、左右対称となっており、右の釈迦如来像が右手を上げ、左手を下げる一般的な印相を示しているのに対し、阿弥陀像は右手を下げ、左手を上げる通常とは逆の形に造られています。
一般的に阿弥陀如来像は親指と人差し指、親指と中指、親指と薬指のいずれかで輪をつくる印相を示しますが、下げた右手の指を5本とも真っ直ぐ伸ばしている姿は、珍しい点です。
枯山水
本堂に入れば、枯山水を観ることができます。
六地蔵菩薩さん
本堂裏庭には、六地蔵さんがいらっしゃいます。
全て見つけられたかな?
手水
色鮮やかに彩られていました。
新型コロナウイルスなどでいろいろな神社仏閣の手水舎は使えなくなっています。
でも、そんな手水舎を綺麗に彩り歓迎の心を伝えてくれるのはありがたいよね。
庭の苔
本堂と勅使門の間の庭も、落ち着いた雰囲気で気持ちが落ち着きます。
八社宮 :京都指定文化財
八社を祀る、表鬼門の社です。室町時代末期の建築です。
八社
- 伊勢神宮
- 松尾大社
- 愛宕神社
- 石清水八幡宮
- 熱田神宮
- 日吉神社
- 八坂神社
- 北野天満宮
が祀られています。
弁天堂
弁財天の化身である九頭龍大神・宇賀神を祀るお堂。
弁財天を祀る由来は、当院の『二尊院縁起』に見られます。
空上人の時代に、四あし門(現在の勅使門)に二尊院寺名の額があり、その額を毎晩門の前の池(竜女池)から 靈蛇(神秘な力を有する蛇、もしくは悪霊と化した蛇)が出て、字形や彩色が消えるほどに舐めてしまったそうです。
これを防ぐため、湛空上人は靈蛇に自らの戒法(仏が制定した教え)を授けるため血脈(教法が伝えられること)を書いて池に沈めました。
すると竜女成仏の証拠として千葉(せんよう、たくさんの葉がついていること)の蓮華一本が咲いたといいます。
弁財天の他に大日如来、不動明王、毘沙門天等を安置しております。
しあわせの鐘(鐘楼)
慶長年間(1569〜1615)に建立。
梵鐘は慶長九年(1604)に鋳造しました。
現在の 梵鐘 は平成4年(1992)に、開基嵯峨天皇千二百年御遠忌法要記念として再鋳されたものです。
「しあわせの鐘」と名付けられております。
- 自分が生かされているしあわせを祈願
- 自分のまわりの生きとし生けるものに感謝
- 世界人類のしあわせのために
鐘を三回ついてそれぞれに祈願するそうです。
3回つかないとだめなのか。1回しかつかなかった。
自分のためだけに
ついた感じになっちゃうね💦
湛空廟(たんくうびょう) :京都指定文化財
湛空廟(たんくうびょう) とは、二尊院で教えを広めた僧、湛空上人の碑を収めています。
また、 法然上人廟でもあるそうです。
しあわせの鐘の横の長い階段を上ると見えてきます。
納められている碑は、建長5年(1253)に中国の石工によって彫られたと思われます。
また、碑堂は室町時代末期の建築となっています。
小倉山荘「時雨亭」跡
諸説ありますが、 藤原定家の嵯峨の山荘 「時雨亭」が二尊院の敷地にあったとされています。
時雨亭とは、藤原定家が小倉百人一首を作成した場所とされています。
時雨亭は、少し奥まったところにあります。
まず、 湛空廟(たんくうびょう) を左に進みます。
この細い道を超えていくと、
見晴らしのよい開けた地にでます。
そこに、「時雨亭跡」と立て看板があります。
藤原定家の嵯峨の山荘 「時雨亭」 は、厭離庵、常寂光寺、二尊院の三説があり実際にはわかっていません。
墓所域
二尊院と関係の深い方々のお墓があります。
三帝陵:土御門天皇・後嵯峨天皇・亀山天皇(3つの石塔)
角倉了以の墓:総門を移築した人物
和算家・吉田光由 の墓
三條西実隆・三條西公條・三條西実枝 の墓
男爵 四條家之墓
伊藤仁斎(江戸時代の儒学者) の墓
俳優 坂東妻三郎
俳優 田村高廣
泥桶管
江戸中期に、水不足の庶民のため吉田光長・光由兄弟により木で作られた水道管が作られた跡です。
石碑「小倉餡発祥の地」
日本で初めて小豆と砂糖で”あんこ”が炊かれたのは平安京時代(820年)です。
当時、809年に空海が中国から小豆を持ち帰ってきました。
小倉山(二尊院の周辺)に暮らしていた和三郎という菓子職人が、この小豆の種子を栽培し、御所から頂いた貴重な砂糖と小豆を煮詰めて”あんこ”を作りました。
これを毎年御所に献上していたのです。
小倉山の餡から小倉餡が来ており、広く広がっていったのです。
この石碑は、井筒八ッ橋本舗 6代目津田佐兵衛建之が創業200年を記念して平成17年に碑を建てたものです。
四季庵
総門を過ぎるとすぐに、四季庵(しきあん)というお茶処があります。
小豆餡発祥の地で、おぜんざいを食べてゆっくりしましょう。
文化財
重要文化財
- 木造釈迦如来立像
- 阿弥陀如来像
- 絹本著色浄土五祖像
- 絹本著色釈迦三尊像 三幅
- 絹本著色十王像 十幅
- 絹本著色法然上人像
- 絹本著色三条西実隆像
- 絹本著色三条西公条像
- 法然上人七ヶ条御制戒 附蒔絵箱
- 法門名義 巻第一
重要美術品
- 絹本著色二十五菩薩来迎図 十七幅
京都市指定有形文化財
- 本堂 附:廊1棟
- 湛空廟 附:石柵
- 惣門(総門) 附:棟札1枚
- 八社宮
建物も京都市の有形文化財として管理されているよ。
その他
- 本堂勅額 – 後奈良天皇宸筆「二尊院」
- 唐門勅額 – 後柏原天皇宸筆「小倉山」
本堂と唐門の中央にある、文字のことだよ。
駐輪場・駐車場
駐輪場および駐車場があります。
京都の外れにあるので、ありがたいね。
拝観案内
拝観時間
- 9:00~16:30
- 定休日:なし
拝観料
- 一般:500円
- 小学生以下:無料
年中行事
毎月
・1日 本尊御開扉供養 11時~12時
・28日 月例不動護摩祈祷 11時半~13時
1~12月
- 1月1日 修正護摩祈祷会 13時~14時半
- 2月3日 節分星まつり 19時~20時半
- 3月20日前後 春季お彼岸
- 4月20日 お大師さま参り 7時~お昼ごろまで
- 5月連休 お釈迦さま花祭り 10時頃~15時頃
- 7月初旬 石鎚山夏山入峰修行
- 7月下旬 キュウリ加治 10時~16時
- 8月前期 盂蘭盆棚経
- 8月24日 地蔵盆
- 9月中旬 秋季お彼岸
- 10月中旬 楊貴妃炎の祭典 11時~16時
- 12月大晦日 除夜の鐘 23時半~
ペット同伴
・ペット同伴可
※マナーを守ることが前提です。
ペット可とHPに書いてあったよ。
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